お金の基礎知識やお役立ち情報満載。マネーコラム

住宅ローンの変動金利とは。固定金利との違いやメリット・デメリットと仕組みも解説

※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。

住宅ローンの変動金利とは。固定金利との違いやメリット・デメリットと仕組みも解説

住宅ローンの金利には、変動金利と固定金利があります。どちらにもメリットとデメリットがあり、ライフプランや家計、経済状況などさまざまな要素で、自分に適した金利が決まるでしょう。

住宅ローンの契約をする前、借り換えの前に、金利の仕組みや特徴を把握しておくことをおすすめします。

この記事でわかること
  1. 住宅ローンの変動金利のメリット・デメリット
  2. 変動金利における5年ルール、125%ルールの意味
  3. 変動金利、固定金利の返済シミュレーション結果
目次

    住宅ローンの金利の仕組み

    住宅ローンでは、実際に借り入れる際の金利を「適用金利」といいます。

    金融機関が住宅ローンの基準として設定する「基準金利」から、「優遇金利」を差し引いたものが適用金利です。

    住宅ローンの金利の仕組み

    基準金利は「店頭表示金利」、優遇金利は「優遇幅」「引き下げ幅」などと呼ばれることがあります。

    優遇幅は金融機関によって異なり、優遇幅が大きいほど適用金利は下がる仕組みです。

    住宅ローンの金利の種類

    住宅ローンの金利には、次の3種類があります。

    住宅ローンの金利の種類

    変動金利型

    変動金利とは、借入期間中に適用される金利が変動するタイプです。一般的に、変動金利は半年に一度見直されることが特徴です。借り入れたときから金利が高くなるか、低くなるかは景気などの要素で変わります。

    固定期間選択型

    固定期間選択型とは、住宅ローンの契約者が決めた期間中は金利が変わらないタイプです。固定金利期間の選択肢は金融機関によって異なり、3年、5年、10年などがあります。

    例えば30年の住宅ローンを契約し、固定期間を10年とした場合、最初の10年間は固定金利、残りの20年は再度固定金利で契約する、または変動金利に変更するといったものです。

    全期間固定金利型

    全期間固定金利型とは、借り入れから完済までの期間、金利が一定のタイプです。完済まで金利が変動しないため、月々の返済額などを契約当初から把握できることが特徴です。

    なお、変動金利型と比較して、金利がやや高めに設定されていることがあります。

    住宅ローンの金利が変動する要素

    住宅ローンの金利が変動する要素には、「短期プライムレート」があります。

    短期プライムレート
    金融機関が優良企業向けの短期貸出(1年未満の期間の貸出)に適用する最優遇金利のこと

    短期プライムレートと住宅ローンの金利が連動していることが特徴で、短期プライムレートに影響を与えるのが、日本銀行が決定する政策金利です。そして、政策金利を決めるのは、日本の経済状況がかかわっています。

    いわゆる「景気がよい」状態では金利が上がり、不景気では金利が下がる傾向があります。

    住宅ローンの金利の推移

    住宅ローンの変動金利の適用金利は、0.6%~0.7%前後です(2025年9月時点)。推移としては、ゼロ金利政策が始まった1999年(平成11年)2月以降は、ほぼ一貫して低い水準となっています。

    しかしここ数年の住宅ローンの金利は、固定金利、変動金利ともに少しずつ上昇しています。

    経済状況によって金利は変動するため、今後の金利の推移を明確に予想することは難しいでしょう。

    住宅ローンの変動金利の金利が変わるタイミング

    変動金利の場合、多くの金融機関で4月1日と10月1日の年2回、金利を見直しています

    年に2回金利の見直しが行われますが、住宅ローンの契約によっては、すぐに住宅ローンの返済額に影響が出ないことがあります。詳しくは「住宅ローンの変動金利における「5年ルール」「125%ルール」とは」で紹介しています。

    住宅ローンにおける2つの返済方式

    住宅ローンには2つの返済方式があり、月々返済する元金と利息の金額・割合に違いがあります

    「どちらの返済方式のほうがよい」というよりも、借入時の収入やライフプランなどによって、自分に合う種類は異なります。それぞれの特徴を把握しておきましょう。

    元利均等返済

    元利均等返済とは、月々の返済額が一定になる返済方式です。

    元利均等返済

    借り入れから完済までの期間、返済額は一定ですが、利息と元金の割合が異なります。

    メリット

    • 返済額が月々一定で返済計画が立てやすい
    • 元金均等返済と比べて、返済開始時点での返済額が少ない

    デメリット

    • 借入期間が同じ場合、元金均等返済よりも支払総額が多くなる
    • 借入残高の減り方が遅い

    元金均等返済

    元金均等返済とは、月々の返済額のうち、元金が一定になる返済方式です。

    元金均等返済

    元利均等返済との違いは、返済が進むにつれ、月々の返済額が減っていくことです。

    メリット

    • 返済が進むにつれて返済額が減るため、次第に負担が軽くなる
    • 元利均等返済と比べて元金の減少が早く、借入期間が同じであれば支払総額は少なくなる

    デメリット

    • 返済開始時点での返済額が最も高額で負担が大きく、借入時点である程度収入が必要になる

    住宅ローンの変動金利における「5年ルール」「125%ルール」とは

    住宅ローンの「5年ルール」とは、変動金利で金利が上昇した際、月々の返済額は5年間固定されるというものです。

    6年目に金利が見直されるとき、返済額の増加が1.25倍(125%)を超えないようにする決まりを「125%ルール」といいます。

    住宅ローンの5年ルールと125%ルール

    住宅ローンではこの2つのルールにより、金利が大きく上昇したときに月々の返済額が増えて負担が大きくならないよう調整されます。

    しかし、負担軽減につながる一方で、金利が大きく上昇した際に、月々支払う利息が返済額よりも大きくなることがあります。これにより、元金の返済が進まず「未払利息」として、完済予定日を過ぎても利息と元金が残るリスクもあると把握しておきましょう。

    なお、金融機関によって5年ルールと125%ルールを採用しているかは異なり、事前に確認しておくことが必要です。

    変動金利型のメリット・デメリット

    変動金利の住宅ローンには、次のようなメリットとデメリットがあります。

    【メリット】比較的金利が低く月々の返済額が抑えやすい

    固定金利と比較すると、変動金利のほうが適用される金利が低い傾向があります。これにより、月々の返済額が抑えられる可能性があることはメリットのひとつです。

    そして、5年ルール、125%ルールが適用される住宅ローンであれば、金利が急上昇しても、月々の返済額が増える事態を防ぎやすくなるでしょう。

    【メリット】低い水準の金利が続けば支払総額を抑えられる

    金利が低い状態が続くことで、月々の返済額だけではなく、支払総額を抑えられる可能性があります。

    なお、今後の金利については明確に予測することは難しいでしょう。

    【デメリット】金利が上昇して負担が増える可能性がある

    金利の変化がよい方向になることもあれば、負担が増える方向へ傾くこともあります。

    金利が上昇すれば、月々の返済額、支払総額が増えてしまうのが、変動金利のデメリットです。

    固定期間選択型のメリット・デメリット

    固定期間選択型の住宅ローンには、次のようなメリットとデメリットがあります。

    【メリット】固定期間中は返済額を管理しやすい

    固定金利の期間は月々の返済額が変わらないため、固定期間中に金利が上昇しても大きな影響を受けにくいでしょう。収入の変化やライフプランにあわせた期間を選択することで、固定期間選択型のメリットを享受しやすくなります。

    例えば、「産休・育休・時短勤務を経てフルタイムに復帰するまで」「子どもが独立するまで」など、収入が安定するまで、まとまった出費がある時期を過ぎるまでなど、数年、十数年先のことも考えながら期間を選択してみましょう。

    金融機関によっては固定期間終了後に、あらためて変動金利か固定金利を選択できる場合があります。

    【デメリット】固定期間終了後に金利が上昇する可能性がある

    固定期間終了後に適用される金利は、その時点での金利に見直されます。そのため、金利に大きな影響がない場合もあれば、上昇している可能性もあります。金利が上昇していれば、固定期間終了後以降の返済の負担が増えてしまうことがデメリットです。

    金利が上昇していれば、固定金利から変動金利に変更しても、月々の返済額や支払総額が増えることが考えられます。

    全期間固定金利型のメリット・デメリット

    全期間固定金利型の住宅ローンには、次のようなメリットとデメリットがあります。

    【メリット】金利上昇によるリスクがない

    借り入れから完済まで金利が変わらないため、経済状況に影響で金利が上昇しても影響を受けないのが全期間固定金利型のメリットです。

    これにより、変動金利における未払利息が発生するリスクもありません

    【メリット】返済計画を立てやすい

    金利が変動しないことは、借入時点で月々の返済額が把握でき、返済計画を立てやすいというメリットになります。

    月々の返済額が変動せず把握できていれば、今後ライフプランの変化によって起こりうる、自動車ローンなどの返済や支払い、子どもの進学、介護などでまとまった出費があっても、住宅ローンの返済における出費を見通しやすくなるでしょう。

    【デメリット】変動金利よりも金利が高い傾向がある

    固定金利は、変動金利と比較し金利が高い傾向があります。

    借入期間中に市場の金利が上昇しない、または金利の上昇幅が小さければ、変動金利よりも支払総額が高額になる可能性があります。

    【デメリット】金利が下がっても返済額が減ることはない

    「変動金利よりも金利が高い」という特徴により、市場の金利が下降傾向にあっても、完済まで固定金利であればよい恩恵を受けられないというデメリットがあります。

    返済額は一定であるため、変動金利のように「想定よりも支払総額が抑えられた」というメリットを享受できないのが固定金利の特徴です。

    【シミュレーション】変動金利によって支払総額はどれくらい変わる?

    ここでは、変動金利と固定金利のシミュレーション結果を紹介します。金利による支払総額の差はどれくらいになるのかを確認してみましょう。

    共通の条件

    • 借入金額:3,000万円
    • 借入期間:35年
    • 返済方式:元利均等返済
    • ボーナス返済:0円
    • 各種手数料:なし

    ■変動金利のシミュレーション結果

    借入金額 3,000万円
    借入期間 35年
    返済方式 元利均等返済
    借入当初10年の
    金利
    0.6%
    11年目~20年目の
    平均金利
    1.5%
    残り期間(15年)の
    平均金利
    2.2%
    利息 6,793,138円
    支払総額 36,793,138円
    ※シミュレーション結果は、返済方式によって数値が異なる場合があります。

    月々の返済額のシミュレーション結果は、次のようになります。

    借入当初10年の
    月々の返済額
    79,208円
    11年目~20年目の
    月々の返済額
    88,230円
    残り期間(15年)の
    月々の返済額
    92,781円
    ※シミュレーション結果は、返済方式によって数値が異なる場合があります。

    変動金利のシミュレーション結果では、借入金額3,000万円に対して、支払総額は約3,679万円となりました。

    次は固定金利のシミュレーション結果を見ていきましょう。

    ■固定金利のシミュレーション結果

    借入金額 3,000万円
    借入期間 35年
    返済方式 元利均等返済
    金利
    (全期間固定)
    2.8%
    月々の返済額 112,132円
    利息 17,095,603円
    支払総額 47,095,603円
    ※シミュレーション結果は、返済方式によって数値が異なる場合があります。

    固定金利のシミュレーション結果では、借入金額3,000万円に対して、支払総額は約4,709万円となりました。変動金利の支払総額と比較すると、約1,030万円の差になります

    住宅ローンは変動金利と固定金利、どちらがいい?

    変動金利と固定金利、どちらがよいかは自身の経済状況によって異なります

    「計画をしっかり立てたうえで返済したい」「市場の金利が変動したとき、大きなリスクを背負うのは難しい」といった方にとっては固定金利のほうが向いているでしょう。

    「ある程度資金に余裕がある」「借入期間を短くしたい」といった方にとっては、変動金利でもリスクを感じにくく、向いているといえます。

    変動金利を選択している割合のほうが多い

    住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」によると、変動金利型79.0%、固定期間選択型12.2%、全期間固定金利型8.8%となっています。

    変動金利を選択している方が多い理由は、固定金利よりも低い金利が適用されるからと考えられます。

    変動金利の住宅ローンから固定金利に借り換えるメリットはある?

    月々の返済額や支払総額を減らせるのであれば、借り換えるメリットを感じやすいでしょう。

    変動金利から固定金利に借り換えて適用金利が上がった場合でも、月々の返済額が一定になり、返済計画を立てやすくなる点はメリットです。

    ただ、住宅ローンの借り換えにおいては、再度審査を受ける必要があり、手数料などの諸費用がかかるといったデメリットもあります。諸費用は数十万円になることもあるでしょう。

    なお、金利の変動は予測が難しいため、借り換えるべきかどうかの判断をするのは困難です。そのため、自身の返済計画やライフプラン、諸費用なども含めて借り換えるほうがよいかを検討してみましょう。

    返済シミュレーションには、借り換えシミュレーションもあります。借り換え前後の条件を入力し、支払総額がどれくらい減るかなどを確かめることができるため、利用してみるのもおすすめです。

    ※シミュレーションの際は最も高い金利を入力するなど余裕を持った返済計画を立てましょう。

    よくある質問

    住宅ローンにおける変動金利の5年ルールとはどのようなものですか?

    5年ルールとは、金利の見直しにより適用金利が上昇した場合でも、月々の返済額は5年間固定されることを指します。そして、6年目に金利が見直されるときも、返済額の増加が1.25倍(125%)を超えないようにする決まりを「125%ルール」といいます。
    詳しくは「住宅ローンの変動金利における「5年ルール」「125%ルール」とは」をご覧ください。

    住宅ローンの変動金利で金利が変わるタイミングはいつですか?

    変動金利は、多くの金融機関で4月1日、10月1日の年2回金利が見直しされています。

    住宅ローンにおける変動金利のメリットとデメリットを教えてください

    住宅ローンの変動金利には、次のようなメリットがあります。

    • 比較的金利が低く月々の返済額が抑えやすい
    • 低い水準の金利が続けば支払総額を抑えられる

    一方で、金利が上昇して負担が増える可能性があることがデメリットです。

    住宅ローンの金利の変動は今後どうなりますか?

    2025年時点では、変動金利、固定金利ともに上昇しています。

    ただし、住宅ローンの金利は経済状況の影響を受けるため、今後の金利の推移を明確に予想することは困難といえるでしょう。

    住宅ローンは変動金利と固定金利はどちらがいいですか?

    変動金利と固定金利は、自身の経済状況によってどちらがよいか異なるでしょう。

    ポイントのひとつとしては、市場の金利が上昇した際のリスクに対応できるかといったものがあります。

    金利が上昇し返済額が増加しても返済を継続できる見込みがある場合は、変動金利であっても問題はないでしょう。返済額が増えることを避けたい場合は、完済までの返済額が一定になる「全期間固定金利型」が向いているといえます。
    VIP LOAN CARD