住宅ローンの審査で確認されること・契約までの流れ。審査の期間や必要書類も解説
※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。
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マイホームの購入にあたり、住宅ローンの利用を検討している方もいるでしょう。
住宅ローンではさまざまな項目が審査対象になり、多くの書類の提出が必要です。何を確認され、どのような書類が必要かを把握しておくことで、スムーズに審査の手続きを行うことができます。
- 住宅ローンの審査で確認されること
- 住宅ローンの審査にかかる時間と流れ
- 住宅ローンの審査に落ちる理由
住宅ローンの審査で確認されること
国土交通省が公表している「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」では、住宅ローンの審査にあたり9割以上の金融機関が、次の項目を審査の対象としていることがわかりました。
ここでは、住宅ローンの審査で9割以上の金融機関が定める審査項目を紹介します。なお、ここで紹介する項目以外にも、さまざまなことが確認されています。
完済時年齢
完済時年齢とは、住宅ローンを完済する時点での年齢です。例えば、30歳の方が35年ローンを利用した場合、完済時年齢は65歳です。
金融機関によって完済時年齢の上限設定は異なり、80歳未満、75歳未満などに設定されています。
健康状態
住宅ローンの審査を受ける際の健康診断は不要ですが、健康状態に関する申告が必要になる場合があります。健康診断の書類などを提出することで、申告を行います。
病気を抱えていると審査に通過できないというわけではありません。しかし、健康状態によっては、団体信用生命保険(団信)への加入が必須になる場合があります。
団体信用生命保険とは、住宅ローンを完済するまでの期間に、死亡または所定の高度障害といった不測の事態に陥った際、保険金が金融機関に支払われ、住宅ローン残高を完済する保険です。
借入時年齢
借入時年齢とは、住宅ローン契約時の年齢です。
住宅ローンの申込条件には、20歳以上70歳未満など下限と上限が設定されています。
年収
金融機関によっては、申込条件に「前年度年収◯万円以上」などと記載されていることがあります。
なお、年収が高ければ審査に通過できるわけではなく、年収以外のさまざまな項目も含めて審査が実施されています。
勤続年数
会社員は◯年以上の勤務、経営者や個人事業主は開業から◯年以上といった条件が設けられている場合があります。
転職や開業直後の場合、申込条件を満たせない場合があります。
返済負担率
返済負担率とは、年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合です。
一般的には20~25%程度が無理なく返済できる割合といわれており、この数値を超えると年収に対して月々の返済が高額になり、負担が大きくなってしまいます。
返済負担率の計算方法
返済負担率は、次の情報を用いることで簡易的な計算をすることができます。
- 借入希望額
- 金利
- 返済期間
- 年収
- 返済方式(元利均等返済・元金均等返済)
これらの情報を用いて、次の手順で返済負担率を計算してみましょう。
- 利息を計算する
- 元金+利息の合計金額を算出する
- 合計金額を返済年数で割り、年間返済額を算出する
- 「年間返済額÷年収×100」で返済負担率を計算する
実際の返済負担率は、返済方式などの詳細な条件によって変わります。
返済負担率を計算できるシミュレーションツールを活用することで、数値を変えて試算できます。
担保評価
住宅ローンにおける担保とは、購入する不動産である「物的担保」と、連帯保証人の「人的担保」があります。
万が一借主が住宅ローンを返済できなくなったとき、担保である不動産を売却する、もしくは連帯保証人が支払いをしなければなりません。
物的担保は、売却時の価値が住宅ローンの審査に影響を及ぼす場合があります。
住宅ローンの審査の流れ
住宅ローンの審査は、次のような流れで行われます。
1. 事前審査(仮審査)を受ける
住宅ローンでは、本審査の前に事前審査(仮審査)が実施されます。
事前審査は本審査と比較して簡易的で、数日程度で結果がわかります。
金融機関へ来店せず、スマートフォンやパソコンからWEB申込ができる住宅ローンもあり、自宅などから任意の時間帯に申し込むことが可能です。また、複数の金融機関で事前審査に申し込むこともできます。
事前審査に通過し本審査も受ける場合、一定期間内に本審査に申し込まなければ、事前審査の有効期限が切れてしまうことがあるため注意が必要です。金融機関により異なりますが、180日間などの有効期間があります。
2. 本審査を受ける
事前審査通過後は本審査に進みます。
本審査では、事前審査よりも詳細な審査が実施されるため、追加で書類を提出します。
申込内容や提出書類の不備は、審査に時間を要する原因になるでしょう。必要書類は、「住宅ローンの審査に必要な書類」で解説しています。
3. 契約手続きをする
本審査通過後、住宅ローンの正式な契約を行います。
契約時に、金利や返済期間などの条件を確認したうえで同意します。
4. 保険の加入手続きをする
団体信用生命保険に加入する場合は、加入手続きを行います。加入は、契約内容によって任意・必須が異なります。
団体信用生命保険の補償内容や手数料は金融機関によって異なるため、確認しておきましょう。
5. 融資が実行される
各種手続きが完了後、融資が実行されます。
融資実行と同時に、住宅の引き渡しも行われます。
住宅ローンの審査に必要な書類
住宅ローンの申込時には、さまざまな書類の提出が必要です。また、本審査の際には追加で書類の提出を行います。住宅ローンの申込前に把握しておき、スムーズに書類を集めて提出しましょう。
事前審査(仮審査)の必要書類
事前審査の際は、次の書類の提出が求められます。
| 本人確認書類 |
運転免許証 パスポート 住民票 など |
|---|
| 収入証明書類 |
源泉徴収票 確定申告書 給与明細書 など |
|---|
| 物件に関する資料 | 物件チラシ など |
|---|
本審査の必要書類
本審査では、次の書類の提出が求められます。
| 団体信用生命保険に関連する書類 |
団体信用生命保険の申込書兼告知書 健康診断結果証明書 など |
|---|
| 本人確認書類 |
住民票謄本 運転免許証 在留カードまたは特別永住者証明書(外国籍の方) ※これらすべてが必要です。 |
|---|
|
収入証明書類 (給与収入の方) |
源泉徴収票および 住民税特別徴収税額の通知書 または住民税課税証明書 |
|---|---|
|
収入証明書類 (給与収入以外の方) |
確定申告書および 納税証明書その1、その2 |
|
収入証明書類 (年金の方) |
年金証書 年金源泉徴収票 年金払込通知書 ※これらすべてが必要です。 |
|
物件確認書類 (一部抜粋) |
売買契約書 重要事項説明書 価格・床面積記載の販売チラシ 工事請負契約書 土地登記簿謄本 など |
|---|
物件確認書類は、注文住宅の種類や、戸建またはマンションといった、購入する物件の種類により異なります。実際に申し込む金融機関で確認してみてください。
住宅ローンの審査にかかる期間
住宅ローンの審査にかかる期間は、金融機関や審査状況によって異なります。
目安として、事前審査は当日中から3日程度、本審査は5日から2週間程度です。
住宅ローンの審査に落ちる理由
住宅ローンの審査に落ちる理由としては、次のようなことが考えられます。
他社での借り入れが多い
返済中のローンがある場合、住宅ローンの審査に落ちることがあります。
借り入れがあると審査に通過できないというわけではありませんが、借入件数や借入金額次第では、審査に影響を与える可能性があります。
返済・支払いで延滞した経験がある
過去にローンの返済や、クレジットカード、分割払い、リボ払いの支払いなどで延滞した経験がある場合、住宅ローンの審査に影響を与える可能性があります。
信用情報機関では、自分の信用情報を開示できます。返済や支払いで延滞した経験がある方は、情報開示をして、どういった信用情報が残っているか確認してみるとよいでしょう。情報開示は、原則本人の申し込みが必要です。
収入が不安定である
収入が不安定な状況の方は、審査に通過しづらくなる可能性があります。
住宅ローンは30年以上など、長期にわたって返済を行う必要があるため、収入の安定性も重要なポイントです。
「正社員以外が審査に通過できない」というわけではありませんが、収入が不安定な雇用形態、業種などの場合は、審査に影響するかもしれません。
勤続年数が短い
住宅ローン申込条件に記載されている勤続年数に満たない、または満たしていても長期ではない場合、審査に影響を与える可能性があります。転職・開業したばかりの方は、審査基準を満たせないことがあるでしょう。
また住宅ローンの申込時に職歴書の提出が求められ、現在の勤務先だけではなく、以前の勤務先を申告する場合があります。
返済負担率が高い
一般的に、返済負担率はおよそ20~25%であれば無理なく返済ができるといわれています。
この数値を超えると年収に占める住宅ローンの返済額が高く、返済の負担も増えてしまいます。返済負担率が高い場合、返済できなくなるリスクが上昇するため、審査に影響を与えるかもしれません。
借入時・完済時の年齢が高い
借入時または完済時の年齢が高いときも、審査に影響を与えることがあります。
借入時の年齢が高い場合、完済までの期間は短く設定せざるを得ないため、月々の返済額が増え返済負担率も上昇してしまいます。
健康状態に問題がある
団体信用生命保険は、健康状態に問題があると加入できないことがあります。
団体信用生命保険への加入が必須の場合、加入できなかったときは住宅ローンを利用できなくなってしまいます。
担保の評価が低い
万が一住宅ローンの返済ができなくなったとき、担保である建物や土地を売却することになります。
このとき、担保の価値が低いと金融機関は貸付金を回収できません。そのため、担保の価値が低い場合は、住宅ローンの審査に影響を与える要素になります。
住宅ローンの審査に通過するためのポイント
特定のことを行えば住宅ローンの審査に通過できるといった方法はありません。しかし、審査に影響を与える要素を小さくする、減らすことで、審査に通過できる確率が高まる可能性はあります。住宅ローンの審査に通過するためのポイントは次のとおりです。
借入希望額を下げる
借入希望額が高額になるほど、返済負担率は上昇します。返済負担率が高くなることは、審査に影響を与える要素のひとつです。
返済負担率を下げるためには、借入希望額を下げるといった手段があります。例えば、自己資金(頭金)を増やすことで、借入希望額を減らせます。
返済・分割払いなどを完済する
現在ローンを返済していたり、分割払いやリボ払いをしていたりする場合は、利用残高を減らしたうえで住宅ローンに申し込むことも検討してみましょう。
ローンの返済などは、住宅ローンの審査に影響を与える要素のひとつです。可能であれば、完済したうえで申し込むようにしましょう。
ペアローンを利用する
ペアローンとは、夫婦間または親子間の2人で契約する住宅ローンです。2人がそれぞれ住宅ローンを契約し、互いが連帯保証人になるという仕組みです。
ペアローンを利用することで、2人の収入を合算して審査を受けられます。2人が契約者になることで、1人だけが契約者になるよりも審査によい影響が期待できます。
申し込む前の転職を避ける
勤続年数は住宅ローンの審査項目のひとつです。住宅ローンを利用してマイホームの購入を検討している方は、同時期の転職や開業は避けたほうがよいでしょう。
住宅ローンの申込条件に一定期間以上の勤続年数が記載されている場合、転職直後では条件が満たせず申し込めなくなってしまいます。
転職を検討する場合は、転職後ある程度期間が経過して住宅ローンに申し込むようにしましょう。マイホームの購入を優先したい場合は、転職を後ろ倒しにするなど、審査に影響が出ないよう計画することが大切です。
住宅ローンは複数申し込みも可能
住宅ローンの審査基準は、金融機関によって異なります。複数の住宅ローンに申し込むことで、いずれかの審査に通過する可能性があるでしょう。
住宅ローンの審査は、本審査まで含めると数週間かかります。審査結果を待って他社の住宅ローンに申し込むと時間を要するため、同時に複数申し込むことも検討してみましょう。
複数の住宅ローンの審査に通過した場合、1社のみを選択し、そのほかの申し込みはキャンセルすることも可能です。審査通過後に契約手続きを行うため、審査段階では契約は締結されていません。
ただし、それぞれの金融機関に提出する書類の準備や申し込みを進める計画が必要です。また、信用情報機関に住宅ローンの申込履歴が残るため、むやみに申し込むのではなく、ある程度金融機関の数を絞って申し込みましょう。
よくある質問
住宅ローンの審査ではどのようなことが確認されますか?
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- 担保評価
各項目の詳細は「住宅ローンの審査で確認されること」で解説しています。
住宅ローンの審査に落ちた理由を教えてもらうことはできますか?
住宅ローンの審査に落ちた理由として考えられるものは、次のとおりです。
- 他社での借り入れが多い
- 返済・支払いで延滞した経験がある
- 収入が不安定である
- 勤続年数が短い
- 返済負担率が高い
- 借入時・完済時年齢が高い
- 健康状態に問題がある
- 担保の評価が低い
住宅ローンの事前審査・本審査にかかる期間はどれくらいですか?
これらは目安であり、実際には金融機関や審査状況によって異なります。

