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投資信託のリスクとは?種類とリターンの関係、上手な向き合い方をわかりやすく解説

※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。

投資信託のリスクとは?種類とリターンの関係、上手な向き合い方をわかりやすく解説

投資信託におけるリスクとは、投資先の株式や債券などの価格が上下することで、収益や損失がどれくらい振れるかを示すものです。値動きが大きい商品は「リスクが高い」、小さい商品は「リスクが低い」と表現されます。

投資はリスクが大きいほどリターンが高い傾向があり、大きな損失となる可能性もあります。安全に大きなリターンを得る投資信託は、基本的に存在しません。投資を始める際は長期投資や積立投資を行い、できるだけリスクを抑えることが大切です。

この記事でわかること
  1. 投資信託におけるリスクの意味
  2. 投資信託のリスクの種類
  3. リスクを抑えて投資をする方法
目次

    投資信託におけるリスクとは値動きの幅

    投資信託におけるリスクとは、投資先の株式や債券などの価格が上下することで、収益や損失がどれくらい振れるかを示すものです。一般的にリスクは「危険性」を示すと思われがちですが、投資の世界では値動きの幅そのものを指します。

    【投資信託とは】
    投資家から集めたお金を1つの資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用し、その運用成果を分配する「金融商品」のこと

    例えば株式の投資信託の商品である「株式ファンド」の場合、景気や企業業績の影響を受けて基準価額が日々上下します。値動きが大きい商品は「リスクが高い」、小さい商品は「リスクが低い」と表現されます。

    リスクの比較

    上のグラフの場合、Aは値動きの幅が小さいため「リスクが低い」、Bは値動きの幅が大きいため「リスクが高い」と判断されます。

    そもそもなぜ投資信託は値動き(価格変動)が起きるのか

    投資信託の値段は「基準価額」と呼ばれます。基準価額は、ファンドが保有している株式や債券などの資産を合計し、その資産総額を投資家全員の口数で分けた1口あたりの値段のことです。

    基準価額は、ファンドが持つ資産の価格に連動して日々変動します。景気や企業業績、ニュースや金利・為替の変化など、さまざまな影響を受けるためです。

    株価が上がれば基準価額が上がり、株価が下がれば基準価額が下がるのが一般的です。投資信託の値動きは、その中身の資産の値動きによって決まります。

    投資信託のリスクの種類【一覧】

    投資信託のリスクの種類

    投資信託は、株式や債券、不動産などさまざまな資産に投資するため、資産の種類ごとに異なるリスクを抱えています。どのファンドにも当てはまる「価格変動リスク」もあれば、債券特有の「金利変動リスク」や外貨建て資産に伴う「為替リスク」のように、対象によって生じるリスクもあります。

    どのようなリスクがどの程度あるのかは、その商品の目論見書を見るとわかります。ここでは、それぞれのリスクの特徴をわかりやすく説明します。

    値段が上下する「価格変動リスク」

    価格変動リスクとは、国内外の政治や経済状況などによって投資対象の価格が変動するリスクです。投資信託の基準価額は、株式や債券といった投資対象の価格が日々変わることで上下します。株式は企業の業績や景気、債券は需給や金利の影響を受けて価格が変動することが一般的です。

    基準価額が変動した結果、期待した利益が出なかったり、元本割れになったりする可能性があります。

    円高・円安に左右される「為替変動リスク」

    外国の株式や債券に投資するファンドでは、為替相場の影響を避けることはできません。円高になると外貨建て資産を円に換算したときの価値が減り、基準価額が下がります。反対に円安になれば、円換算の価値が増えて基準価額が上がる仕組みです。

    なお、外貨建て資産に対して為替ヘッジを行うと、基準価額への為替変動の影響を抑えることができます。為替ヘッジとは、円高や円安といった為替変動リスクを回避・低減する仕組みです。ただし、為替ヘッジは取引のコストがかかることが一般的です。

    企業や国が支払えなくなる「信用(デフォルト)リスク」

    投資先の企業や国が、経営悪化や財政難で利息や償還金を支払えなくなる可能性を「信用リスク」といいます。
    例えば債券の場合、発行体が利払い不能になれば、価格が急落することが考えられます。株式の場合は、経営不安や倒産で株価が下がることもあるでしょう。

    債券や株式に投資をする際は、投資先の企業や国の信用リスクを考慮しておく必要があります。

    債券で特有の「金利変動リスク」

    金利変動リスクとは、その名のとおり金利が変動するリスクです。債券の価格は、金利と逆の動きをします。金利が上がると既存の債券は魅力が薄れ、価格が下がります。反対に金利が下がれば、既存の債券の価値は上がる仕組みです。

    そのため、債券を多く組み入れた投資信託では金利の変化が基準価額に大きく影響します。満期までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を受ける傾向があります。

    投資先の国や地域の影響「カントリーリスク」

    カントリーリスクとは、投資先の国や地域の情勢の変化によって証券市場や為替市場が混乱し、資産の価値が変動するリスクのことです。

    投資対象の国や地域で政治不安や経済危機、戦争や規制変更などが起きると、その国の株式や債券の価格は急変動する可能性があります。結果として、ファンドの基準価額も大きく変動します。

    特に新興国市場に投資するファンドの場合は、カントリーリスクに注意しましょう。新興国は先進国と比較すると社会基盤が整っておらず、政治不安などが起こる可能性があるためです。

    売りたいときに売れない「流動性リスク」

    流動性リスクとは、市場規模が小さかったり、取引機会の頻度が少なかったりするために購入や売却のよいタイミングを逃してしまうリスクです。市場における売買が少ない資産は、必要なときにすぐ売れなかったり、安い価格でしか売れなかったりする可能性があります。

    小型株や発行量の少ない債券などは、流動性リスクが高い傾向があります。純資産が小さいファンドでは換金に伴う影響が大きく、基準価額が不安定になる場合もあります。

    リスクとリターンは表裏一体!リターンが高ければリスクも高い

    投資の世界では、リスクが大きいほどリターンが大きく、リスクが小さいほどリターンが小さいという関係があります。

    例えば株式を多く含む投資信託は値動きが大きいため、短期間で大きな利益を得られる可能性がありますが、その分大きな損失を抱えるリスクがあります。一方で、債券中心の投資信託は値動きが比較的小さいため安定しやすいというメリットがありますが、その分大きな利益を期待しにくいのが特徴です。

    リスクとリターンの関係

    「安全に大きなリターンを得る投資信託」は、基本的に存在しません。自分がどの程度の値動きに耐えられるか、リスクの許容度を把握してその範囲で商品を選ぶことが大切です。

    自分に合ったリスク許容度の考え方

    投資信託を選ぶときは、自分自身がどのくらいの値動きに耐えられるか、自分に合ったリスク許容度を把握することが重要です。リスク許容度は、以下の観点で確認します。

    いつお金を使う予定があるか

    自分のリスク許容度を把握するために、いつ大きな金額のお金を使う予定があるかを確認しておくことが大切です。お金を使うまでの期間が長ければ、途中で価格が下がっても回復を待てる可能性が高くなります。

    例えば、10年以上先に使う資金であれば、リスクの高い株式の比率を高めてもよいかもしれません。1年以内に使う資金の場合は債券や安定資産を中心に投資して、値動きが大きな商品への投資を避けるのがおすすめです。

    家計に余裕があるかどうか

    収入や生活費の安定度は、リスク許容度に直結します。安定した収入があるうえに十分な生活資金がある場合は、リスクが高い投資をするのもひとつの選択肢です。価額が大きく下がったとしても、生活に影響を与える可能性が少ないためです。

    一方で収入が不安定だったり資金の余裕が少なかったりする場合は、家計に支障を来さないようリスクが低い投資を選択するほうがよいでしょう。

    値下がりしたときにどのくらい耐えられるか

    リスク許容度を確認するためには、値下がりしたときに「投資を続けられるか」を想像することが大切です。投資には値下がりのリスクがありますが、商品によって値下がりのリスクの幅は異なります。

    例えば、20%下落しても投資を続けられる場合は、中〜高リスク商品を検討するのもよいでしょう。5〜10%の下落で不安になる方は、リターンの大きさよりもリスクの低さを優先して商品を選ぶことをおすすめします。

    投資を始める前に各ファンドの投資信託説明書(交付目論見書)を読み、リスクを確認することが大切です。

    投資信託のリスクと上手に向き合うための運用方法

    投資信託には元本割れなどのリスクがあるため、始めるのが不安に感じる方がいるかもしれません。投資のリスクをゼロにすることはできませんが、損失を抑える方法はあります。ここでは、投資信託のリスクと上手に向き合うための運用方法を説明します。

    余剰資金で投資信託を利用する

    投資信託は、生活費や急な出費に必要なお金を別に確保したうえで、あくまで余剰資金で行うのが基本です。

    投資信託は、短期的に元本割れする可能性があります。そのため、生活に必要な資金を投資に回すのはリスクが伴います。数カ月〜1年分の生活費を確保したうえで、余ったお金を投資に充てるのがおすすめです。

    長期投資でリスクを抑える

    投資信託の値動きは、短期間で上下を繰り返します。短期間で見ると大きな変動であったとしても、5年や10年と長い目で見れば価格の振れ幅がならされ、安定した成果につながることがあります。

    特に株式を含むファンドは短期的に下がっても、長期的には成長を期待できる可能性があります。投資信託は短期間の変動で一喜一憂せず、長期目線で行うことが大切です。

    長期投資の例

    長期投資では、複利の効果も期待できます。複利とは、運用で得た利益をふたたび投資に回すことで利益が利益を生む仕組みです。

    積立投資で購入価格を平均化する(時間の分散)

    投資信託は一度に大きな金額を投資するのではなく、小分けにして毎月決まった金額を継続的に投資するのがおすすめです。毎月決まった金額を積み立てる「積立投資」はドルコスト平均法の仕組みが働くため、「安いときに買わなかった」「一番高いときに買ってしまった」といったことを避けられます。

    ドルコスト平均法とは
    投資対象の価格が高いときは購入口数を少なく、安いときは多く買えるようにして、購入価額の平均を引き下げることを目指す投資方法

    投資の時間を分散する例

    積立投資を行うと購入価格が平準化され、相場の上下に左右されにくくなります。NISAなどの非課税制度を使えば、さらに効率的に積立ができるでしょう。

    投資先を分散してリスクを分け合う

    投資を行うときは「株式のみ」「債券のみ」など1つの資産に投資するのではなく、複数の資産や地域に分散して投資するとリスクを減らしやすくなります。例えば、「国内株式と外国株式」「先進国と新興国」「株と債券」などと組み合わせると、どれか1つの価格が下がってもほかがカバーしてくれる可能性があります。

    投資先を分散する例

    投資先の分散は、「卵を1つのカゴに盛らない」という投資の考え方です。複数の種類に分散して投資を行うことでリスクが分散され、安定した資産運用を進めやすくなります。

    実際のリスクをケース別にシミュレーションしてみよう

    投資を始めるにあたり、リスク許容度を確認できたらシミュレーションを行いましょう。投資信託は元本保証がないため、購入してからの値動きは常に変動します。「どのような値動きをたどるのか」をいくつかのシナリオで想定すると、投資信託のリスクをより具体的に理解しやすくなります。

    ここでは代表的な3つのケースを説明します。

    相場が順調に上がった場合

    景気が拡大すると、株価や債券価格が安定的に上昇する場合があります。相場が上がった場合、一括投資をしている方は早い段階から含み益が出やすいでしょう。積立投資をしている方は、定期的に買い増することで資産が増えやすくなります。

    このシナリオでは投資成果はわかりやすくプラスになり、投資を続けるモチベーションにつながります。ただし、「常に右肩上がり」とは限らない点に注意しましょう。

    最初に下がってから回復した場合

    投資を始めた直後に相場が下落し、その後ゆっくり回復するパターンです。一括投資をしている方は、最初に大きな含み損を抱えることになります。積立投資をしている方は、値下がりのときに安く買えるため、回復局面で効率よく資産を増やせる可能性があるでしょう。

    投資初心者の方には、投資を始めてすぐ相場が下落することに不安を感じるかもしれません。しかし、長期で投資を続けると回復局面でプラスに転じることがあるため、長期的な目線で投資を行うことが大切です。

    上がり下がりを繰り返す場合

    相場が一定方向に動かず、短期的には上下を繰り返すパターンです。一括投資をした方は、値動きに大きく振り回されるかもしれません。積立投資をしている方は、高値のときは少なく、安値のときは多く買える「ドルコスト平均法」の効果で購入価格を平準化できる可能性があります。

    長期的に見れば平均購入単価が下がり、相場が横ばいでも利益が出やすくなります。価格の上下に振り回されず、長期的な目線で投資を行いましょう。

    よくある質問

    投資信託のリスクとは何ですか?

    投資信託のリスクとは、投資先の株式や債券などの価格が上下することで、収益や損失がどれくらい振れるかを示すものです。一般的に「リスク」は「危険性」を示すと思われがちですが、投資の世界では値動きの幅そのものを指します。

    投資信託のリスクの種類をわかりやすく教えてください。

    投資信託には以下のようなリスクがあります。
    • 価格変動リスク
    • 為替変動リスク
    • 信用リスク
    • 金利変動リスク
    • カントリーリスク
    • 流動性リスク

    各リスクの詳細は、「投資信託のリスクの種類【一覧】」を参照してください。

    投資信託が10年で元本割れする確率は?

    元本割れの確率は投資対象や運用方針によって異なるため、一律に示すことはできません。

    一般的に株式を多く含むファンドは短期で元本割れする可能性が高いものの、長期的に回復するケースが多いといわれています。短期的な元本割れのリスクにとらわれず、長期的な目線で投資を行うことが大切です。

    投資信託をやめたほうがいい人はどんな人ですか?

    短期で必ず利益を得たい方や価格が下がるとすぐ不安になる方には、投資信託は向かないといえるでしょう。投資を行うときは、分散投資や積立投資などでリスクを抑えて価格の上下に一喜一憂しないことが大切です。

    また、投資は余剰資金で長期的に資産形成を考えられる方に向いています。投資の元本保証はなく、生活資金まで投資に回すのは危険であるためです。
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