投資信託の利回りとは?平均・計算方法、初心者向けの選び方や運用ポイント解説
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投資信託における利回りとは、「投資元本に対してどれくらいの収益が得られたか」の割合で示した数値です。例えば100万円を投資して1年間で5万円の利益を得られた場合、利回りは5%となります。利回りの数値が高い投資信託は、一般的にリスクも高い傾向があります。
安定した運用を続けるためには、投資信託を選ぶときに利回りだけではなく、手数料や運用実績など総合的に判断することが大切です。投資の目的や自分のリスク許容度を考慮して、自分に合った投資信託を選びましょう。
- 投資信託の利回り・利率の違い
- 投資信託で利回り以外に確認すべきポイント
- 投資信託を始めるにあたって注意したいこと
投資信託における利回りとは:1年あたりの収益率
利回りとは、「投資元本に対してどれくらいの収益が得られたか」を割合で示した数値です。「運用リターン率」「投資収益率」などとも呼ばれます。
例えば100万円を投資して1年間で5万円の利益を得られた場合、利回りは5%です。投資信託では、この利益に値上がり益や分配金などが含まれ、運用成績を比較する指標として使われます。同じ利益額でも、投資額が少ないほうが利回りは高くなります。例えば10万円の投資で1万円の利益が出れば利回りは10%ですが、100万円投資して1万円の利益であれば利回りは1%です。
投資信託の比較では「元本に対してどのくらい効率よく利益を生み出しているか」を見ることが重要です。
利回りと混同しやすい言葉
ここでは、利回りと混同しやすい言葉の意味を説明します。
| 利回り |
投資元本に対して得られた 1年あたりの収益の割合 |
|---|---|
| 利率 | 元本に対する利息の割合 |
| トータルリターン |
一定期間における、 投資コストに対する収益の割合 |
| 騰落率 |
一定期間内に投資信託の 基準価額が変化した割合 |
| パフォーマンス | 投資信託の運用成績 |
利率
利率は預金や債券、ローンなどの契約時にあらかじめ定められた、元本に対する利息の割合のことです。「年○%」といった形で表記され、固定金利と変動金利があります。
一方利回りは、実際の運用結果から算出される成果の割合です。投資信託の場合、事前に決まった利率はなく、運用成績によって利回りが変動します。
トータルリターン
トータルリターンは、一定期間における、投資から得られたすべての収益を投資コストで割った収益率のことです。収益には、値上がり益や分配金、配当金などが含まれます。
利回りは一般的に1年あたりの収益率であるのに対し、トータルリターンは運用開始からの累計や、任意の複数年など幅広く設定できるのが特徴です。
騰落率
騰落率(とうらくりつ)とは、投資信託の基準価額が一定期間内にどれだけ変化したかを示す割合です。基準価額とは、投資信託1口あたりの価格を指します。例えば1カ月や1年など決められた2つの時点の価格を比較して、どれだけ上昇・下降したかを測ります。
基準価額が10,000円から11,000円になれば、騰落率は10%です。これは価格変動のみであり、分配金や実際の収益を含むものではありません。
パフォーマンス
投資信託における「パフォーマンス」とは運用成績全体を示す広い概念です。利回りや騰落率に加え、「ベンチマーク(市場指標)との比較」「リスクとのバランス」など複数の評価要素を含みます。
投資をする際は収益だけではなく、総合的にパフォーマンスを見て投資のやり方を見直したり、次の投資に役立てたりすることが大切です。利回りが高くてもベンチマークより低い成果であれば、パフォーマンスはよいとはいえないでしょう。
投資信託の平均利回りはどれくらい?
投資信託の平均利回りは、ファンドの種類や運用地域、運用方針によって大きく異なります。投資信託の平均利回りは3%〜10%であることが一般的です。過去の実績や市場データから、おおよその目安を把握することは可能です。
資産別の期待リターンは以下のとおり推計されています。
| 国内債券 | −0.3%〜3.2% |
|---|---|
| 外国債券 | 1.4%〜4.9% |
| 国内株式 | 4.0%〜7.5% |
| 外国株式 | 4.6%〜8.1% |
この利回りの平均値は好調な年と不調な年を含むため、短期的には期待リターンから大きく外れることがある点に注意しましょう。
利回りの数値が高いほどリスクが高い傾向がある
利回りの数値が高い投資信託は、一般的にリスクも高い傾向があります。高いリターンを狙うには、株式や新興国資産など値動きの大きい資産を多く組み入れる必要があり、基準価額の上下が激しくなりやすいためです。
また、投資信託の資産は景気や金利の変動による影響を受けやすく、下落局面では損失が大きくなるリスクもあります。
「平均利回りが高い」ということは、運用が回れば大きな利益を得られる可能性があることを示します。投資をする際は短期的な値動きやリスクを理解したうえで、「投資期間を長めに設定する」「複数資産に分散する」など、自分のリスク許容度にあわせた運用が重要です。
投資信託の利回りの確認方法
投資信託の利回りは、証券会社や運用会社のWEBサイトなどで確認できます。WEBサイトの該当ページで、調べたいファンドを検索することが可能です。
株式型や債券型、バランス型といったカテゴリーや運用会社名による絞り込みもできます。WEBサイトの該当ページで利回りを知りたいファンドを指定すれば、1年、3年、5年などの期間別のリターンが表示されます。
投資信託の利回りの計算方法
投資信託の利回りは、以下の計算方法で求められます。
利回り(%)=(収益合計/運用年数)÷元本 ×100
計算に用いるそれぞれの用語の意味は、以下のとおりです。
| 収益合計 |
分配金や配当金、値上がり益などの 合計額 |
|---|---|
| 運用年数 |
実際に運用した年数 (1年未満の場合は月数で換算) |
| 元本 | 最初に投資した金額 |
例えば投資元本100万円で、2年間の運用で得られた収益合計が20万円の場合、以下のように利回りを求めます。
①年間平均の収益額を計算
20万円 ÷ 2年 = 10万円/年
②投資元本に対する割合を計算
10万円 ÷ 100万円 × 100 = 10%
この場合、年平均利回りは10%となります。
投資信託でどれだけのリターンがあるかをシミュレーションしよう
ここでは、投資信託でどれだけのリターンがあるか、一括投資と毎月積立それぞれのパターンで説明します。
100万円を一括投資した場合の資産額(10年間)
利回り2%、3%、5%で100万円を10年間一括投資した場合の資産額は以下のとおりです。
| 利回り | 10年後の資産額 |
|---|---|
| 2% | 1,218,994円 |
| 3% | 1,343,916円 |
| 5% | 1,628,895円 |
利回りが2%のときと5%のときで、資産額が約40万円違うことがわかります。
毎月3万円を積立投資した場合の資産額
利回り2%、3%、5%で毎月3万円を10年間〜40年間投資した場合の資産額は以下のとおりです。
| 利回り | 10年後の資産額 | 20年後の資産額 | 30年後の資産額 | 40年後の資産額 |
|---|---|---|---|---|
| 2% | 3,977,904円 | 8,826,948円 | 14,737,905円 | 21,943,328円 |
| 3% | 4,183,440,円 | 9,805,633,000円 | 17,361,391円 | 27,515,698,円 |
| 5% | 4,630,895,000円 | 12,174,135,000円 | 24,461,277,000円 | 44,475,738,000円 |
同じ2%の利回りでも、10年後と40年後では、約1800万円違うことがわかります。
投資信託を利用するうえで重要な利回り以外の指標
投資信託を選ぶとき、多くの人が最初に利回りに注目するかもしれません。利回りは目安のひとつではありますが、利回りだけで投資を判断するのは避けたほうがよいでしょう。利回り以外に確認したいポイントには、以下のようなものがあります。
| 基準価額 |
投資信託の「値段」。 毎日変動するため、値上がりや値下がりの 理由(運用成績か分配金か)を確認する。 |
|---|---|
| 純資産総額 |
投資信託に集まっているお金の合計。 金額が多いと安定しやすく、 少ないと運用終了となる可能性がある。 |
| 手数料(コスト) |
投資信託を買ったり売ったりするための費用。 毎年かかる「信託報酬」が安いほど 長期運用で有利になる傾向がある。 |
| 運用実績 |
過去の成績。 どの程度の期間安定して 増えているかを確認する。 |
| 分配金の方針 |
定期的にもらえるお金。 元本を減らしていないか、 再投資タイプを検討する。 |
投資信託の運用を安定させたり、長期的に資産を増やしたりするためには、利回り以外の指標も確認することが大切です。
自分に合った投資信託の選び方
投資信託のリスクを減らして運用するには、自分に合った投資信託を選ぶことが大切です。ここでは、自分に合った投資信託の選び方を説明します。
投資の目的と期間を明確にする
投資信託を選ぶ前に、まずは「何のために運用するのか」「どれくらいの期間運用するのか」をはっきりさせましょう。目的や期間によって、選ぶべきファンドのタイプやリスクの許容度が変わるためです。
投資初心者の場合は、数年から10年以上を見据えた中長期運用を前提にしたほうが複利効果を活かしやすく、価格変動の影響を平均化できると考えられています。投資期間の途中で使う予定があるお金は投資せず、生活費や予備資金は別に確保しておきましょう。教育資金や老後資金、マイホーム資金など、使う時期や目的に応じて資産配分を変えるのがおすすめです。
証券会社や運用会社のシミュレーションサイトでは、「いつまでにいくらの資金が必要か」を入力すると、必要な利回りや投資額が出力されるツールがあります。どれくらいの投資額が必要か知りたい場合は、シミュレーションするとよいでしょう。
自分のリスク許容度を把握する
リスク許容度とは、運用中に資産が下落した際に精神的・経済的に耐えられる範囲のことです。
投資信託のリスクは、ゼロにすることはできません。運用中に、資産が大幅に下落することも考えられます。資産が下落したときに備えて、自分が精神的・経済的にどの程度耐えられるか把握しておくことは大切です。
過剰にリスクを取ると下落局面で慌てて売却してしまい、損失が確定する恐れがあります。自分のリスク許容度にあわせて商品を選び、運用するようにしましょう。
過去の運用実績を見る
投資信託を選ぶ際には、過去の成績も参考材料になります。過去の実績が将来の成果を保証するわけではありませんが、「安定して目標とする利回りを達成しているか」を見ることで、そのファンドの運用の安定性や特徴が見えてくる場合があります。
短期だけでなく中期・長期の成績を確認することで、一時的な好調なのか、長く安定しているのか判断することが可能です。同じタイプの投資信託と比べて成績が上位にあるか、値動きが安定しているかもあわせて確認しましょう。
手数料を比較する
投資信託には、購入や運用、解約の際にさまざまなコストがかかります。特に信託報酬(運用管理費用)は毎年差し引かれるため、長期運用になるほど資産の伸びに影響します。投資信託を始めるときは利回りだけでなく、運用コストも比較するとよいでしょう。
信託報酬は0.1%以下から1%前後までさまざまです。長期で運用するほど、報酬の差が大きくなります。ファンドによっては、購入時手数料が無料のものもあります。できるだけコストを抑えたい場合は、手数料が無料のファンドを優先的に検討しましょう。
投資信託では長期・分散・積立を意識する
投資信託で安定的に資産を増やすには、長期運用・分散投資・積立投資の3つを意識することが重要です。
長期運用は利益が利益を生む「複利効果」を最大限に活かせる方法で、短期的な値動きに左右されず成長を期待できます。例えば年3%の利回りでも、20年続ければ元本は約1.8倍になります。
分散投資は、株式・債券・不動産など複数の資産や国内外に分けて投資する方法です。一部の資産が下落してもほかの資産で補える可能性があり、全体のリスクを抑えやすくなるというメリットがあります。積立投資は毎月一定額を継続的に投資する方法です。
この3つを組み合わせれば、利回りだけを追うよりも安定した資産形成を実現しやすくなります。初心者でも無理なく長く続けられる運用スタイルを作るために、これらのポイントを意識してみてください。
よくある質問
投資信託における利回りとは何ですか?
利回りが高いほど収益性は高くなりますが、同時に価格変動リスクも伴います。
投資信託の平均利回りは?
資産別の期待リターンは以下のとおり推計されています。
| 国内債券 | −0.3%〜3.2% |
|---|---|
| 外国債券 | 1.4%〜4.9% |
| 国内株式 | 4.0%〜7.5% |
| 外国株式 | 4.6%〜8.1% |
投資信託の利回りはどう計算すればいいですか?
利回り(%)=(収益合計/運用年数)÷元本 ×100
「収益合計」は分配金や配当金、値上がり益などの合計額、「運用年数」は実際に運用した年数(1年未満の場合は月数で換算)のことです。「元本」は最初に投資した金額を指します。
