ビジネスローンの審査に落ちる理由と対処法。ローン以外で融資を受ける方法も紹介
※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。
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ビジネスローンとは、事業性資金を借り入れるためのローンです。法人だけではなく、個人事業主が申し込めるビジネスローンも存在します。
ビジネスローンを利用する前には審査が実施されますが、経営状況や事業者の状況によっては、審査に通過できないこともあります。なぜ審査に落ちてしまうのか、もし審査に落ちてしまったらどうすればよいのかを見ていきましょう。
- ビジネスローンの審査項目
- ビジネスローンの審査に落ちる理由・対処法
- ビジネスローン以外で事業性資金を調達する方法
ビジネスローンの審査で確認されること
ビジネスローンの審査では、属性情報・信用情報・財務状況の3つがおもに確認されます。

属性情報
属性情報とは、申し込んだ方の個人に関する情報で、次のような情報が該当します。
属性情報の例
- 年齢
- 雇用形態(正社員、契約社員など)
- 収入 など
信用情報
信用情報とは、各種ローンやクレジットカードの利用履歴など、客観的な個人の金融取引に関わる事実を登録した情報を指し、次のような情報が該当します。
信用情報の例
- クレジットカードやローンの申込・利用履歴
- 支払いや返済の遅延履歴 など
財務状況
事業の財務状況とは、事業の利益、売上高などです。
なお個人事業主の場合、事業の財務状況を除く情報で審査を実施することもあります。
ビジネスローンの審査基準は公表されていない
ビジネスローンに限らず、どのようなローンでも審査基準は公表されていません。そのため、「事業の売り上げがいくらあれば、審査に通過できる」といった判断も難しいでしょう。
また、審査基準は金融機関によっても異なります。これにより、「A社の審査には落ちたが、B社の審査に通過できた」といったこともありえます。
審査基準は公表されていませんが、ローンの申込条件は金融機関のWEBサイトに記載されています。申込条件を満たしていないとそもそも契約ができないため、確認したうえで申し込みましょう。
ビジネスローンの審査に落ちる原因と対処法
ビジネスローンの審査に落ちる原因は次のようなものが考えられます。
原因にあわせた対処をし、次回ビジネスローンに申し込む際の参考にしてみてください。
設立・開業して間もなかった
設立・開業して間もない時期、または設立・開業前にビジネスローンに申し込みをすると、審査に通過できないことがあります。
設立・開業して間もない段階は経営実績がほとんどなく、収支計画が読めないことがあるでしょう。それにより、金融機関は返済能力を判断するのが難しくなり、審査に落ちる可能性があります。
対処法は、設立・開業から1年以上経過したタイミングで、ビジネスローンに申し込むという方法があります。年月が経過すれば、事業の収支を把握しやすくなるでしょう。
貸金業者や銀行といった金融機関のビジネスローンの利用が難しい場合、自治体などの公的機関の融資制度も検討してみてください。融資制度の場合、設立・開業前の事業者を対象とした貸し付けを行っていることがあります。詳細は「公的機関の融資制度」で紹介しています。
経営状況が不安定である
経営状況が不安定な場合、金融機関は「返済能力が不十分」と判断し、審査に通過できない可能性があります。
審査では、経営状況だけではなく、事業者個人の属性情報や信用情報も含めて総合的に審査を行うため、必ずしも審査に落ちるというわけではありません。赤字でも申込可能なビジネスローンも存在します。一方で、財務状況が黒字であれば審査に通過できるわけではなく、さまざまな項目を総合的に見て判断をしています。
対処法としては、キャッシュフロー計算書などを作成してお金の流れを可視化し、改善につなげるといったものです。
経営状況や財務状況から見てビジネスローンや融資制度の利用が難しい場合、公的機関の補助金・助成金の制度を活用する方法もあります。詳細は「公的機関の補助金・助成金」で紹介しています。
借入希望額が高額だった
財務状況や返済能力から見て、借入希望額が高額な場合も、ビジネスローンの審査に落ちてしまうことがあります。この場合、審査に通過しても希望した借入額よりも低い金額が融資される場合もあるでしょう。
対処法は、次回ビジネスローンに申し込むにあたり、本当に必要な資金はいくらかを今一度考え、必要最低限の借入額を希望するという方法があります。
ほかにも、一度にまとめて必要な金額を借り入れるのではなく、必要なお金の一部のみを借り入れ、必要に応じて増額の申し込みをするといった方法もあるでしょう。
他社で借り入れている
すでにビジネスローンなどのローンを契約している場合、審査に落ちてしまうことがあります。
ローンを契約できる数に上限はありませんが、契約中のローンがある状態でさらに申し込みすると、返済能力を超える借り入れと判断され、審査に落ちるかもしれません。
対処法は、契約中のローンの返済を進める、または完済したあとに申し込むといった方法があります。複数のローンを契約している場合、完済して借入件数を減らすことも検討してみてください。
過去に返済・支払いに遅れたことがある
過去にローンの返済や、クレジットカードの利用代金の支払いに遅れたことがある場合、ビジネスローンの審査に影響を与える可能性があります。
一定期間以上返済や支払いに遅れると、信用情報機関に記録されます。審査の際に借入希望者の同意を得たうえで信用情報が照会されるため、支払いに遅れたことがある場合、審査に影響を及ぼすかもしれません。
信用情報機関とは
消費者と金融機関の健全な信用取引を支えるために、加盟する金融機関から登録されるクレジットカードやローンに関する信用情報を扱う機関のこと
契約内容や返済状況などの信用情報が信用情報機関に保有される期間は、「契約期間中」および「契約終了後5年以内」と定められています。5年経過すると記録は消えますが、その間は利用者の希望で記録を消すといったことはできません。
そのため対処は難しいですが、今後、ローンやクレジットカードにおいて、返済や支払いに遅れないよう計画的に利用することを心がけましょう。
申込情報・提出書類に不備があった
ビジネスローンに申し込む際、事業と個人に関する情報を入力します。申込時に入力した情報が間違っている場合、正しく審査ができず、審査に通過できない可能性があるため、情報に誤りがないか十分確認しましょう。
また、提出する書類にも配慮することが大切です。
スマートフォンのカメラで撮影したり、スキャナーで取り込んだりする場合、文字が読めるか、途中で見切れていないかを提出前に今一度確認してみましょう。
審査に落ちたら他社のビジネスローンに申し込んでもいい?
「A社のビジネスローンに落ちたから、B社のビジネスローンに申し込む」ということは可能です。
しかし、審査に落ちてすぐ他社のビジネスローンに申し込んだり、短期間で複数のビジネスローンに申し込んだりすることは避けたほうがよいでしょう。その理由として、審査において金融機関が「資金繰りが悪化している」と、返済が困難な状況ではないかという印象を与えてしまうためです。
金融機関は審査の際、申込者が別のローンに申し込んでいることを、信用情報機関を通して把握できます。信用情報機関には、「ローンに申し込みをした」という記録が6カ月残ります。そのため1社に絞って申し込み、6カ月経過しないうちに、複数のビジネスローンに申し込むのは避けたほうがよいでしょう。
再度ビジネスローンに申し込む前には、キャッシュフローの可視化や改善などを行うのがおすすめです。
ビジネスローンに申し込む前に知っておきたいこと
ビジネスローンに申し込む前に、次のポイントを把握しておきましょう。
返済計画を立てたうえで申し込む
事業の収入・支出から見て、月々いくらであれば無理なく返済を続けていけるのか、ビジネスローンの申込前に確認しておきましょう。
月々の返済額は、金融機関のWEBサイトにある「返済シミュレーション」を利用することでイメージできます。返済シミュレーションに借入希望額や金利などを入力することで、月々の返済額や利息がわかり、返済が現実的なものかを把握できます。
シミュレーションをした結果、月々の返済が難しそうな場合は、借入希望額を減額するといった選択ができるでしょう。これにより、実際にビジネスローンに契約後、返済が困難になり滞ることを防ぎやすくなります。
事業計画書を作成する
事業計画書とは、事業の概要や収支計画などを記載して作成する書類です。
一部の金融機関では、ビジネスローンの申込時に事業計画書の提出が求められる場合があります。
事業計画書はさまざまな項目を記入するため、短時間で作成するのは難しいでしょう。今後、事業計画書を提出するビジネスローンの利用を検討している方は、早い段階から書類の作成に取りかかるのがおすすめです。
ビジネスローンの審査に落ちた人が資金調達をする方法
事業性資金を借り入れる手段として、ビジネスローン以外にも次のような方法があります。
担保ありのビジネスローン
担保には、不動産などの「物的担保」と、保証人の「人的担保」の2種類があります。ビジネスローンの多くは、担保なしで利用可能です。
なかには、「不動産担保ビジネスローン」のように、建物や土地を担保に入れることで融資を受けられるビジネスローンも存在します。
担保ありのビジネスローンは、担保なしのビジネスローンと比較して、融資を受けられる金額が数千万円、数億円といったように高額になる傾向があります。なお、実際には担保の価値によって、受けられる融資の金額は異なるでしょう。
金融機関によっては、自身の名義の不動産ではなくても、親族の不動産を担保に入れられる場合もあります。
担保なしのビジネスローンで審査に通過できなかった方は、不動産担保ビジネスローンの利用も視野に入れてみましょう。
公的機関の融資制度
中小企業や個人事業主を対象とした、市区町村が実施する融資制度があります。
金融機関が提供するビジネスローンと比較すると金利は低く、利息の負担を軽減しやすいことがメリットです。また、制度によっては、設立前・開業前の事業者も、融資の対象になることが特徴です。
融資には、業種、資本金、従業員数といった条件があり、詳細は自治体によって異なります。自治体の融資制度については、お住まい、または事業所がある自治体のWEBサイトで確認してみてください。
日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫とは、政府系の金融機関で、事業者を対象とした融資、相談を行っています。
日本政策金融公庫には、無担保・無保証人で借り入れができる融資制度があります。金融機関のビジネスローンと比較し、金利が低いことが特徴です。
創業前にも申し込める創業融資や、小規模事業者経営改善資金など、事業者の状況に応じた融資制度があるため、自身にあうものを利用してみましょう。
融資制度は、全国にある支店への来店・電話で相談が可能です。
公的機関の補助金・助成金
中小企業や個人事業主を対象とした、市区町村が実施する補助金・助成金の制度です。融資とは違い、返済をする必要はありません。
ただし、制度を利用するための条件や、利用できる事業者の数に限りがあります。
また、申込期間が限られている場合があるため、利用を検討している方は定期的に自治体のWEBサイトを確認し、早めに申し込むようにしましょう。
ファクタリング
ファクタリングとは、事業者の売掛債権を買い取ってもらえるサービスです。ファクタリングはビジネスローンとは異なり、融資ではなく債権を買い取ってもらうことで資金を調達します。
金融機関のような審査ではありませんが、ファクタリング業者が債権を買い取る前に審査を実施しています。
利息はなく、買い取ってもらうための手数料が発生する点が、ビジネスローンや融資制度との違いです。
ファクタリング業者によっては、申し込みをしたその日に債権を買い取ってもらえることがあり、資金調達の手続きを短くしたい方にも便利です。
資金使途が自由なローン
カードローンやフリーローンなど、資金使途が限定されていないローンも資金調達の選択肢になります。
ただし、これらは個人向けのローンであり、商品によっては借りたお金を事業に使えないこともあるため、条件を確認する必要があります。
よくある質問
ビジネスローンで審査に落ちる理由はなんですか?
- 設立・開業して間もなかった
- 経営状況が不安定である
- 借入希望額が高額だった
- 他社で借り入れている
- 過去に返済・支払いに遅れたことがある
- 申込情報・提出書類に不備があった
審査に落ちた場合でも、金融機関から理由が伝えられることはありません。そのため、理由として考えられることのなかから、自分に当てはまるものを探し、対策をしてみましょう。
理由の詳細は「 ビジネスローンの審査に落ちる原因と対処法 」で紹介しています。
個人事業主でもビジネスローンの審査に通過しますか?
個人事業主が申し込めるローンであれば、審査に通過することで融資を受けられます。
ビジネスローンの審査はどれくらいの時間がかかりますか?
申し込みをしたその日に融資を受けられる商品もあれば、1週間程度かかるものまでさまざまです。
金融機関のWEBサイトには、最短でいつ審査結果が通知されるのか、融資を受けられるのか記載されていることがあるため、申込前に確認してみましょう。