個人事業主がビジネスローンを利用するポイント|審査項目や金融機関の選び方とは
※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。
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ビジネスローンとは、事業性資金を借り入れられるローンです。ビジネスローンには個人事業主も申し込める商品もあり、融資を受けることができれば設備投資など事業に関連する費用として利用できます。
申し込みをする前に、審査ではどのようなことが確認されるのか、融資までどれくらいの時間がかかるのかをイメージしておきましょう。
個人事業主が申し込めるビジネスローンはある?
事業性資金を借り入れられるビジネスローンは、法人、個人事業主どちらも申し込める商品があります。金融機関によって、個人事業主の申し込み可否は異なるため、申込条件などはWEBサイトを確認してみましょう。
ビジネスローンは銀行や信用金庫のほか、消費者金融など貸金業者でも提供されています。
銀行などの窓口で申し込める商品だけではなく、スマホやパソコンなど、WEB上で申し込みから契約まで対応しているビジネスローンもあります。
カードローンとビジネスローンの違い
カードローンとビジネスローンの大きな違いは、資金使途です。
カードローンとは、おもに個人がお金を借り入れることを目的とした商品です。カードローンには、資金使途が限定されていない商品が多く存在します。
一方ビジネスローンは、資金使途が事業性資金に限定されています。
なお、「カードローン」の名称がついた、事業性資金を借り入れられる商品もあり、金融機関によって商品の特徴、名称は異なるでしょう。
ビジネスローンには必ず審査がある
銀行、貸金業者など、どのような金融機関でも、ビジネスローンの利用前には審査が実施されます。
審査を実施する目的は、申込者に返済能力があるかを確かめるためです。
金融機関が提供するローンはビジネスローンだけではなくカードローンなどの商品でも、法人、個人事業主などに関係なく審査があります。
個人事業主がビジネスローンの審査で確認されること

個人事業主の場合、ビジネスローンの審査ではおもに属性情報と信用情報が確認されます。また、場合によっては事業の財務状況が確認されることもあります。
属性情報とは、年齢や家族構成など個人に関わる情報を指し、次の情報が該当します。
属性情報
- 雇用形態(正社員、契約社員など)
- 勤続年数
- 収入 など
信用情報とは、各種ローンやクレジットカードの利用履歴など、個人の金融取引に関わる情報で、次のような情報が該当します。
信用情報
- クレジットカードやローンの申込履歴
- 支払いや返済の遅延履歴 など
審査を行う際、金融機関は「信用情報機関」で情報を照会し審査を実施しています。
信用情報機関とは、消費者と金融機関の健全な信用取引を支えるために、加盟する金融機関から登録されるクレジットやローンに関する信用情報を扱う機関です。金融機関は、借り入れの申し込みを受ける際、申込者の合意を得たうえで、信用情報の照会を行っています。
個人事業主はビジネスローンでいくら借り入れられる?
ビジネスローンで借り入れられる金額が決まる要素には、大きく次の2つがあります。
- ビジネスローンに設定されている「借入可能額」
- 審査によって個別で決まる「借入可能額(または融資額)」
ビジネスローンは商品ごとに、10万円から1,000万円といったように、金融機関が設定した融資可能な下限と上限の金額が決められています。申込者の情報をもとに審査を行い、商品に設定された金額の範囲内で個別に借入可能額、融資額が決定します。
ビジネスローンの融資形式には、「当座貸越(とうざかしこし)」と「証書貸付(しょうしょかしつけ)」の2種類があり、それぞれ次のような特徴があります。
当座貸越
- あらかじめ設定された借入可能額の範囲で、必要な分だけその都度借りる形式
- 急な仕入れや人件費の支払いなど流動的な資金に適している
- 借入残高の増減によって利息や毎月の返済額が変わる場合がある
証書貸付
- あらかじめ決めた金額を一括で借りる形式
- 設備投資などまとまった資金に適している
- 毎月一定額を返済するため返済計画を立てやすい
借入可能額はいずれの融資形態も同程度になることが考えられますが、当座貸越の場合は利用中に増額・減額ができることもあります。
必要に応じて資金を調達するか、まとまった金額を一度に借り入れたいかなど、資金使途や返済の見通しに応じて適したビジネスローンを選択しましょう。
総量規制にかかわらず借り入れができる?
総量規制とは、貸金業者に対して契約者の年収の3分の1を超える貸し付けを原則禁止する規制です。消費者の借り過ぎや、貸金業者の貸し過ぎを防ぐために設けられています。貸金業法には「総量規制」が定められており、貸金業者に対して契約者の年収の3分の1を超える貸し付けを原則禁止しています。
貸金業者が提供するビジネスローンのなかには、総量規制の対象となる商品があります。ただし一部の商品では、総量規制の「例外貸付」の対象になるビジネスローンもあり、この場合は年収の3分の1を超える金額が借り入れられる場合があるでしょう。
例外貸付の対象にするためには、事業や資金計画がわかる書類を提出する、審査で返済能力が認められなければならないなど、条件があります。
なお、銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫などは貸金業者ではないため、貸金業法に基づく総量規制は適用されません。各金融機関が独自の融資基準で借入可能額、融資額を決定します。
事業が赤字でもビジネスローンを利用できる可能性がある
事業が赤字の状況にある場合、「審査に通過しないのではないか」と不安になる方もいるでしょう。
金融機関は、信用情報と属性情報、必要に応じて事業に関する書類も提出し、それらの情報をもとに審査を行っています。たとえ事業が赤字などネガティブな情報があったとしても、返済能力があると判断されれば、審査に通過できる可能性があります。
ビジネスローンの申し込みから融資までの流れ
ビジネスローンを利用するまでの一般的な流れは次のとおりです。

仮審査とは、申込者が記入した情報をもとに行う簡易的な審査です。仮審査に通過したあと、提出された書類などをもとに、本審査が実施されます。審査結果は、申込時に記入したメールアドレスなどに通知されます。
本審査に通過後、金利など融資を受ける条件が知らされ、その後正式に契約を行うという流れです。
契約後は、金融機関やコンビニのATMで借り入れる、または任意の口座に振り込まれるかたちで借り入れます。借り入れたあとは、遅れないよう月々の返済を進めていきましょう。
ビジネスローンの申し込みに必要な書類とは?
個人事業主の場合、ビジネスローンの申し込みでは「本人確認書類」と「収入証明書類」の提出を行います。
本人確認書類の例
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート(所持人記入欄があるもの)
- 住民票
- 在留カード・特別永住者証明書 など
収入証明書類の例
- 源泉徴収票
- 給与明細書/賞与明細書
- 課税証明書/特別徴収税額の決定通知書
- 確定申告書 など
個人事業主がビジネスローンで借り入れるメリット
個人事業主がビジネスローンを利用するメリットには、次のようなものがあります。

「最短即日融資」を受けられるビジネスローンもある
貸金業者が提供するビジネスローンには、最短で申し込みをしたその日に審査結果が届き、融資を受けられる商品があります。
即日融資はあくまでも最短であり、申し込みをした時間帯や審査の状況によっては、翌日以降に審査結果の通知、契約手続きになる可能性があることを把握しておきましょう。
年収の3分の1を超えた借り入れができる場合もある
開業資金や設備投資などでは、年収の3分の1を大幅に超える金額が必要になる場合があります。
そのような方にとっては、年収の3分の1を超える借り入れができると便利でしょう。
すべてのビジネスローンで年収の3分の1を超えて借り入れられるわけではなく、必要書類の提出や審査などによって対応は異なります。
保証人・物的担保なしで利用できる
ビジネスローンのなかには、保証人や、不動産などの「担保」なしで申し込める商品もあります。保証人に依頼することが難しい場合もあるため、無担保で利用できる点はメリットです。
また「不動産担保ローン」といったビジネスローンも存在します。担保に入れる不動産の価値によって、借入可能額が決まります。無担保のビジネスローンと比較し、借入可能額が高額な傾向があることが特徴です。
個人事業主がビジネスローンで借り入れるデメリット
ビジネスローンには、次のようなデメリットがあります。

利息の支払いが必要になる
利息とは、お金を借りたときの対価です。ビジネスローンに限らず、ローンを利用する場合は利息の支払いが必要です。
金利や借入金額、借入期間など、さまざまな要素で利息が決まります。
支払利息を軽減するには、金利が低いビジネスローンを選択する方法があります。
総量規制の対象になる場合がある
貸金業者のビジネスローンは、総量規制の対象になる場合があります。総量規制の対象になると、年収の3分の1を超える金額を借りることは、原則としてできません。
数百万円以上のようにまとまった金額の借り入れを検討している方にとっては、デメリットといえるでしょう。
自分に合うビジネスローンを選ぶ4つのポイント
ビジネスローンを選択・比較するときは、4つのポイントに注目してみましょう。
金利
低い金利であるほど、支払利息を軽減できる可能性があります。
ビジネスローンは、◯%~△%のように下限と上限の金利が設定されており、借入可能額(融資額)が低いと、上限に近い金利が適用される仕組みです。金融機関のWEBサイトには、借入可能額ごとに適用される金利が記載されていることがあります。
また、ビジネスローンによっては、固定金利ではなく変動金利が適用される商品もあります。
ビジネスローンを選ぶ際は、上限の金利を確認し、低金利の商品を選択してみてください。
融資までの時間
手続きの時間をできるだけ短くしたい方の場合、最短でどれくらいの期間で審査結果が通知されるのか、融資を受けることができるのかも確認しておきましょう。
貸金業者のなかには、最短で即日融資を受けられるビジネスローンも存在します。
お金が必要だとわかった段階で申し込むなど、時間に余裕をもって申し込むことをおすすめします。
借入可能額(融資される最高金額)
ビジネスローンによって、最高でいくらまで借り入れられるのかは商品ごとに異なり、その金額を超えて融資を受けることができません。例えば、「最高1,000万円」の借入可能額が設定されている商品の場合、1,000万円を超えての融資を受けられません。
1,000万円を超えて融資を受けたい場合は、1,000万円以上の借入可能額が設定されたビジネスローン、またはそのほかの商品に申し込む必要があります。
返済期間
ビジネスローンは、商品ごとに、「最長5年」や「12回以内」など、返済期間や回数が設けられており、設定されている期間内に返済をする必要があります。
借入金額と、返済期間や回数から見て、月々の返済額が現実的なものかどうかを事前に把握しておきましょう。
個人事業主が知っておきたいビジネスローンの注意点
ビジネスローンに申し込む前に、次の注意点を確認しておきましょう。

資金使途・借入金額を明確にする
資金使途と借入希望額は、ビジネスローンの申込時に記入するため、申込前に明確にしておきましょう、
ビジネスローンで借り入れたお金は事業性の資金としてのみ利用可能です。資金使途が不明確な場合、事業性以外の資金としても利用される懸念が生まれるため、必要な借入金額とそれにともなった資金使途を示しましょう。
返済シミュレーションで支払総額・月々の返済額を把握しておく
返済シミュレーションを使うことで、支払総額や月々の返済額を簡易的に確認できます。シミュレーションツールは金融機関のWEBサイトなどにある、登録不要で無料で利用可能です。
借入希望額、金利などの情報を入力することで、支払総額などが確認でき、「借り入れたときに返済できそうか?」をイメージできます。
開業前・開業直後は申し込めない場合がある
開業前や開業直後の個人事業主は、申し込めないビジネスローンもあります。
例えば「直近の確定申告書」の提出が求められるビジネスローンの場合、開業の準備段階では提出できず、申し込みの対象外となってしまいます。また、事業の実績が現時点ではあまりない開業直後の個人事業主の場合は、審査に通過するのが難しい場合もあるでしょう。
開業前、または開業直後の個人事業主は、ビジネスローン以外の「自治体」または「日本政策金融公庫」が提供する融資制度も検討してみましょう。
個人事業主が利用できるビジネスローン以外の事業性資金の調達方法
個人事業主が事業性資金を借り入れる手段としては、ビジネスローン以外にも、次のような方法があります。
自治体が実施する融資制度
自治体では、中小企業や個人事業主を対象に、事業性資金の融資制度を実施していることがあります。事業性資金を円滑に調達できるよう支援をしてくれる制度であり、都道府県、または市区町村の役場などで相談が可能です。
自治体の融資制度は金融機関が提供するビジネスローンと比較して、金利が低いことが特徴であり、支払利息を軽減しやすいでしょう。
融資を受けられる事業者の条件などはWEBサイトに記載されているため、利用を検討している方は「◯◯(自治体名) 個人事業主 融資制度」などと検索をしてみてください。
なお、自治体が提供するのは融資制度であるため、返済を行う必要があります。
日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、法人や個人事業主を対象とした事業性資金の融資制度を実施しています。
金融機関が提供するビジネスローンと比較して、金利が低いことが特徴で、支払利息を軽減しやすいでしょう。
開業前、開業直後の事業者を対象とした融資制度もあり、これから開業する方も融資を受けられる可能性があります。
ファクタリング(売掛債権の買い取り)
ファクタリングとは、売掛債権を買い取る金融サービスです。ファクタリングは融資ではなく、債権の買い取りによる資金調達方法です。
ファクタリングの利用にも審査があり、審査に通過することで債権を買い取ってもらうことができます。また、一定割合の手数料を支払う必要があることも理解したうえで利用してみましょう。
よくある質問
個人事業主もビジネスローンに申し込めますか?
個人事業主が申込対象かを知りたい場合は、ビジネスローンのWEBサイトで、商品概要などを確認してみてください。
ビジネスローンの審査では、どのようなことが確認されますか?
属性情報とは、おもに次のようなものを指します。
- 雇用形態(正社員、契約社員など)
- 勤続年数
- 収入 など
- クレジットカードやローンの申込履歴
- 支払いや返済の遅延履歴 など
ビジネスローンの審査に落ちてしまいました。原因を教えてもらうことはできますか?
ほかの金融機関でビジネスローンに申し込む場合などは、考えられる原因を把握し、改善できるものがあれば何か対処を行う必要があります。
ビジネスローンの審査に落ちてしまった理由として考えられるものは、次のとおりです。
- すでにほかの金融機関で借り入れをしている
- 過去に税金やローンなどで滞納・延滞した経験がある
- 申込内容が提出書類に不備があった など
個人事業主が開業資金を借り入れる方法はありますか?
これらの融資制度は、個人事業主や中小企業を対象としています。
個人事業主がビジネスローンに申し込むとき、必要な書類を教えてください
本人確認書類とは、おもに次のような書類を指します。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート(所持人記入欄があるもの)
- 住民票
- 在留カード・特別永住者証明書 など
- 源泉徴収票
- 給与明細書/賞与明細書
- 課税証明書/特別徴収税額の決定通知書
- 確定申告書 など